【完】強引なイケメンに、なぜか独り占めされています。





心がポキンと折れて、なんてひどいことを言ったんだろうって、取り返しのつかないことを言ってしまった自分を呪った。


お父さんが私に謝ることなんてなにもしてないんだよ。


私が……。

お父さんの気を惹きたくて、お父さんに私だけを見てほしくて、つまらない意地を張っただけで。


それでも。

お葬式に参列した近所の人、教員仲間、教え子達、保護者……誰一人として私を責めなかった。



「お父さんはね、仁菜に笑ってほしかったのよ。だから……そんな悲しい顔をしないで?ね……?」



私の涙を拭うお母さんの温かい手が震えていた。


責められるよりも、許されることがずっと辛い罰だった。



ーーー手を放したのは、私だったのに。