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「ごめんな……っ、呼び出したりして?」
「ううん。は、話って、なに?」
結局、さっきは桐生秋十に何も言えず。
案の定。
私が、外に向かうと、山本くんは待っていた。
「こないだのことでさ」
苦笑いを浮かべる山本くん。
わざわざ二人で話したいだなんて一体なんだろう?
「蜷深、オレに言ってたことがあるだろう?」
「……言ってたこと?」
辺りは夜に包まれている。
遠くで蝉が鳴いていて、灯りは小さな金色のライトがぼんやりとついているだけだった。
「ほら……“死にたくなるなんて簡単に言うな”ってさ……?」
「うん、言ったよ」
「ずっと気になってたんだよ。その言葉が。なんであんなこと言われたんだろうって。すげぇ怒ってたし」
「……、」
山本くんが刺すようにこっちを見つめている。



