私からすれば、桐生秋十の性格の悪さは折り紙付きだし、異常だって思う。
だから、顔だけはいいんだろうけど、アイツの本性に注意してほしいよ、そこの女子の皆様……。
かくいう私は、明日から一体どう過ごしていけばいいの……?
憂鬱を背負った私は誰もいなくなった教室で一人考えていた。
「みんな、アイツの本性知らないんだよ。あんないじめっこの大魔王のどこがいいの……?桐生秋十なんて、大嫌い……」
と、静かな教室で一人毒づいた。
この教室には、席に着いたまま未だ帰ろうとしない私一人だと安心しきっていたから。
「俺の本性ってなに?」
え……?
大嫌いなアイツの声が背後から飛んできた。
大嫌いだから、振り返らなくたって、その声が私にはわかるんだ。



