ずっと疑問だったんだ。


それはいじめられていた私をかばってくれないことを指摘してるんじゃなくて。


本当に、素直に気になっていたから。


晴くんが笑顔を取り戻したのも、アイツの優しさがあったからだと思うし……。



「んーっ、晴のことはもちろんそう。あ……でも。それだけじゃないかな。桐生くんと、わたしは似てるなぁって思う……」


「いや……それはないよ!いじめっこだった桐生秋十と、ひーちゃんが似てる……?」



ひーちゃんがなんでそんなことを言うのか全然わかんないよ。


 
「あははっ。ごめんね、意味わかんないよね?でもわたしはニーナに気づいてほしいんだよねぇ。桐生くんだって、きっと……」



遠くを見つめるかのように声を落とした。


ひーちゃんはチラリと時計を確認すると私の隣から立ち上がり、ゆっくりと振り返った。



「その時が来たら、ニーナに教えてあげるよ」