【完】強引なイケメンに、なぜか独り占めされています。


 *


オレンジの光が教室の中に射し込む放課後。

遠くで蝉の大合唱が聞こえる。



「あれ……日和はどこいったんだよ?」


「あ。颯太。ひーちゃんなら、日誌提出しにいったよ。今日、日直だから」



ひーちゃんの帰りを待つ私の前に颯太が座る。



「なんだよ……明日の臨海学習のスケジュール立てとけって言ったクセに」



開け放たれた窓から生温い風が吹き込んで、ふわりと颯太のゆるふわパーマを揺らす。



「………彼氏作りは上手くいってんのか?」



くしゃりと髪をかきあげる颯太の唐突な質問。



「い、いや、全然……、」


「ふーん。あんなに気合い入れてたのにな?」


「……、」



私の方へ身体を向ける颯太が眉を高くする。