「晴にとって桐生くんは特別なんだよ。わたしも、桐生くんはすごいなぁって思ってるし」


「え……?す、すごい?」


「うん。ニーナが転校してくる前ね、晴は全然笑わなかったの。表情が乏しいっていうか……幼稚園の頃から内向的でさ。なかなか輪の中に入れない子だった」



ーーーー“問題を抱えた子”


それって晴くんのことだったのかなって今さら思う。



「………学校に行くようになってからも、そんな晴をみんなは奇妙な物でも見るような目で見てて。だけど……っ、晴も頑張ったんだよ。いっぱい頑張って……やっと、やっと笑ったの。だけどーーー」



ひーちゃんの顔が悲しみに染まる。 



「………”気持ち悪い”って。晴が笑うと、気持ち悪いんだって」


「っ、」



自分の笑顔を拒絶されたらどれだけ悲しいだろう。