「桐生くんのこと、わたしにはわかるよ。お互い似てるなぁって思うの。わたしだから、わかるのかも……」



意味深な言葉に私は首を傾げる。


そして、ひーちゃんが足元からそっと上げた視線の先には、席に座ってボーっとしている晴くんがいた。


臨海学習を楽しみに騒ぐクラスメイトをよそに、誰とも話そうともしない晴くんはつまらなそうだ。



「ねぇ、あれ、晴くん……?」



まるで、心ここに在らずってかんじだ。



「桐生くんがいないと無気力体質だからね」


「晴くんって、桐生秋十のこと……すごい大事なんだね。大好きなのが伝わってくるもん」



こないだの雨の日、私にはそれがわかったよ。