「……っ、」



その大きな手が私の頬にそっと触れる。

桐生秋十の体温が流れ込んでくる。



「だ、だって、ずっと嫌がらせしてきて、意地悪で……なのに、なんで……」



私はきみのことがまだわからない。

ずっと、本当のきみを知らなかったから。


ふと見上げた先。

私を見つめる眼差しが真剣そのもので。



「じゃあもし、俺はーーーー、」


……と。

静かに口を開いた桐生秋十の瞳が揺れる。



「お前のことが好きだって言ったら、どうするつもり?」



なんの迷いもない真っ直ぐな声に、私の心は焼けるように熱くなった。


瞬きをすることも忘れて、ただただ見つめるしか出来なくて。



触れられたその手に、私を映す瞳に。

私の鼓動がドキドキと反応している。