「そ……それは、どうもご親切にっ!」


「なんだよその態度。可愛くねぇな」


「アンタみたいなヤツに可愛いとか思われたくないから……、」


「ふーん。強がってるけど、俺が来なかったら今頃お前は堤の毒牙にかかってたんじゃないのか?」


「……、」


「素直じゃないその性格、変わってねぇな?」



私を知ったような口ぶりにカッと首が熱くなる。


太陽の光を背に受けて、こっちを見下ろす黒い瞳は、私を捉えていた。


この瞳が、私はずっと大嫌いだ………。



「なによ……私は、アンタなんか来なくても、自分でなんとか出来……っ、」



ーーーグイッ!


いきなり手首を掴まれて乱暴にひっぱられる。



「っ、なにすんのよ………!?」


「振りほどいてみ?」


「へっ……?」



眉を上げた桐生秋十が低い声で問いかけてくる。


こ、こんなの、簡単に振りほどけるよ………。

私は手を動かしたりひいたりと抵抗をみせた。


あ、あれ………?


けど、びくともしない私の手は、一向に解放されることはない………。