「だから、おかしいでしょ……っ、今まで、私に意地悪して、物は投げるし文集だって破くし……いつも睨んできて……」



冷たい眼差しも、いつだって不機嫌な口元も。

それが大魔王って名前がピッタリな桐生秋十。



「それなのに、優しくしたり助けたり……昨日のことも、彼氏がほしいなんて簡単に言ってた私がいけないんだよ?」



ボロボロと本音をさらけ出せば、隣からクスッと笑った声が聞こえてくる。



「………な、なに笑ってるの?」


「別に?お前がすげぇ喋ってくれるから」


「え……?」


「こんなに喜ばせてどうすんの?」


「っ、」


「ヤバ。熱上がるかも……」



ほ、本当に、顔が赤くなってる……。