堪らなくなって再び逃げるように目を伏せた。



「もう一回言ってよ?」

 
「な……なに、言ってんの……」



ダメ……。

顔がまともに見れない。


私の膝の横に手をついて、桐生秋十が体重を預けるようにこっちへと迫る。


その距離に私の胸は早鐘を打ち付けた。



「だから、聞かせてよ?もう一回」



吐息混じりに落とした声はあまりにも近い。

聞かせて……なんて。

そんな口調いつもはしないクセに。

もっと偉そうなのに。



パニック状態の私とは裏腹に、桐生秋十の声は少しの期待が混ざっているみたい。