桐生秋十の熱のこもった手が、背を向けた私の手をあっという間にさらった。
「ちょっ………!?」
バランスを失った身体は背中からベッドへと倒れるように傾いて、真っ白な天井を見つめた。
かと思った次の瞬間には、ギシッ、とベッドが軋む音が響く。
それは、ストンと私のお尻が桐生秋十の隣へと着地したからだった。
訳がわかぬまま顔を横に向ければ……、
「今なんて言ったの?」
「な……、」
さっきよりも近づく声はまるで確かめるように。
もう、言い訳も思いつきそうにない……。
「俺のことが嫌いなんじゃなかったっけ?」
「そうだけど……、」
身体を起こした桐生秋十。
その整った顔をじりじりと近づけて、口角を上げると、からかうように笑った。



