「ゆ、夢じゃないけど……」



だって、優しいなんて知ってしまったら、もう大嫌いだなんて思えない。


言い訳を重ねても心に嘘はつけないから。


私は、ただ認めたくないんだと思う……。



「ったく、晴のヤツ余計なこと言ってんなよ」


「心配なんだよ………は、晴くんは……」



伏し目がちな瞳が流れるように私を見る。



「“晴は”って、じゃあお前は?」



おでこに腕を乗せてフッと息を吐いた。

まるで私がなんて言うか手に取るようにわかっているみたい。


私は……。



「私も……、」



私も大嫌いだったのにきみが心配で……。


なんて、そんな矛盾したこと、とても言えない。