ーーードキッ!
心臓が飛び出してしまいそうになった。
ま、マズイ…………。
目と目が合った私は慌てて離れようとしたけど、時既に遅し……。
「お前……なにしてんの?」
熱っぽい声に問いかけられて言葉が出てこない。
気だるそうで、掠れたような、寝起きの声。
まさか目を覚ますなんて、予想外……。
「なにって、晴くんから聞いて……熱が、ありそうだし……」
繋ぎ合わせた声が裏返りそう……。
本当に、私はなにしてるんだろう。
なんで、大魔王のところにのこのこやってきたんだろう。
「お前が来るとか。なにこれ?夢……?」
おぼろげに問いかける桐生秋十。
私の大嫌いな………
大嫌いなはずだった………
違う……桐生秋十を、大嫌いじゃない私がいる。



