ふと視線を移すと白いカーテンが半分だけ閉まったベッドが目に留まる……。
利用者名簿には昼休み開始の時間と下手くそな“桐生秋十”の名前……。
起こさないようにそっと近寄って、恐る恐るカーテンの中を覗いてみると、桐生秋十の無防備な姿が目の前にある。
やっぱり熱があるかもしれない。
だって、頬っぺたが赤いし……。
さっきよりも近寄れば呼吸が苦しそうだ。
こんな弱々しい姿を見るのも、こうして自分から桐生秋十の元へ駆けつけるのも、初めて。
どうして、助けてくれたんだろう。
忠告を無視した私をほっとけばよかったのに。
そうすれば、アンタは風邪なんかひかないで済んだんだよ……?
無防備な寝顔を見つめていると、胸がキュッと締め付けられた。
……その瞬間。
パチリ、と。
眠っていた桐生秋十の瞳が開かれた。



