【完】強引なイケメンに、なぜか独り占めされています。








そりゃ、心配じゃないと言えば嘘だと思う。

いくら私だってそこまで冷たい人間じゃない。


晴くんの見透かしたような瞳から逃げるように教室を出た私は、一人保健室へと向かった。


昨日、家に帰ってから、桐生秋十のことがずっと頭の中から離れなくて、ぐるぐる考えてばかり……。


子供の頃、桐生秋十からの嫌がらせに泣きながら家に帰った時もそうだったけど、その時とは気持ちが全然違うんだ。


上手く言えないけれど、今は大嫌いが理由で考えてるんじゃないって思う私がいる。



「し、失礼します………」



ノックをして扉を開けば保健室独特の薬品の香りが鼻をさした。


あれ……保健の先生は?


シーンと静まり返る保健室におずおずと入れば、職員室にいますって書かれたカードが机に置いてある。