「ニーナへの接近禁止を命ずるわ!!」



最早、刑事さんではなく裁判官……?



「そうだぞ、山本。つか、お前なんでここにいんの?ニーナの視界に入らないとこに行けよな、ったく」



颯太、気持ちは嬉しいけど、同じクラスなんだからそんな無茶な……。



背中を丸めた山本くんは二人に詰め寄られて、ずっと憔悴しきっている様子だ。


かくいう私も、軽々しく彼氏をつくりたいなんて発言をしたことに、ひーちゃんからお説教されたばっかり……。


山本くんとは二度と言葉を交わすことはないだろうけど、二人の怒りを浴びる姿は気の毒なほど。



「ニーナ。お前さ、今度からオレと帰れば?」


「ありがと、颯太。でも颯太は遊ぶ予定もあるし。ほんとに私は大丈夫だから。それに……私こそ反省しなきゃ」



戻ってきた颯太がガシガシと私の頭を撫でる。



「ニーナはオレの隣にいれば安全なのに。素直に甘えとけよ?な?」



そう言って女の子に手招きされた颯太は笑顔を見せると、廊下へと向かった。


颯太が無邪気に笑うと、八重歯が見えて、それだけでホッとするから不思議だ。