それに私だってただ単に決別したいってだけじゃなくて、恋をしてみたいって気持ちはあるんだ。
好きな人がいるってどんな気持ちなんだろう。
そういえばひーちゃんは、“恋の相手は選べない”なんて言っていたけど、私にはイマイチわからないや。
今日も颯太とのバトルに圧勝したひーちゃんをチラリと見ると、どこかを見つめていた。
その視線を辿れば晴くんがいて……。
「アキ、寝不足?」
「ああ。ルルがひっつくから暑くて寝れないんだよ」
寝癖ついてる……。
授業中も眠そうにしてて瞼が閉じそうだったし。
って……私、なに見てるの?
気づくと、私は桐生秋十を見つめていたことに驚いて、慌てて視線を戻したのだった。



