あの生徒会長がすごくなよなよして見える……。


隣に立ち尽くしたユキノ先輩だってさっきとは一変して、ドン引きな様子だった。



「ちょっと……っ、誤解を招くようなこと言わないでよ……」



これ以上、好き勝手言われても困る。



「あ、アンタと私が……特別な関係なんて、そんなバカなことがあるわけないでしょ」



否定する私は大嫌いな桐生秋十を見上げる。

……けれど。



「あれ?仁菜、“秋十”って名前で呼ばないの?」


「なっ……!そ、それはアンタが脅し……っ、」



言いかけた直後、ズイッ、とその整った顔を近づけてくる。



「ん?なんか言った?」



うぅっ………。

私には悪魔が“黙れ”って言ったように聞こえるんだけど……。



あまりにも桐生秋十の唇が近いことに驚いて、私はその問いかけに首を振った。



そして桐生秋十は再び堤先輩に刺すような視線を投げる。



「生徒会長のクセにこんなところで女を押し倒していいわけ?全校生徒が知ったら失望するよな?」