「私にしか言わないって、どういう意味……?私のことおかしいって言ったけど、今日のアンタこそ、変だよ……、」



意地悪ばかりされてきた私と絶対君主の大魔王の桐生秋十。



「わかんないの?いい加減、気づかないわけ?」



ジリジリと距離を詰めるからアパートの塀に背中が当たって逃げ場をなくす。


ちょ、ちょっと、近いって………!



「なぁ、どうなんだよ?わからせてやんなきゃ気づけない?」



そして、私の頭の横にトンと片手をついて、整った顔を傾ける。



「いやだから……っ、ちょ、近い……っ!ほ、ほら!ルルちゃんが、見てる……!」


「大丈夫。いい子だから誰にも言わない」


「っ、バカ!バカ………!」



精一杯の抗議の声も大魔王相手じゃ通らない。



「はっきり言ってやろうか?」



クスッと口角を上げる桐生秋十から逃げるようにルルちゃんを見ると、アーモンドアイをパチパチとさせておすまし……。



「だから俺は、お前が……」



私は心の中で悲鳴をあげて耐えきれずにギュッと目を瞑る。