【完】強引なイケメンに、なぜか独り占めされています。





なんで、いつもいつも、そんな瞳で私を見るの?



「だって、思い出したら………、」



心の中で呟いたつもりが声になって零れ落ちる。



ーーーー“先生なんかやめちゃえばいいのに!”



遠い記憶の蓋が一瞬だけ開かれた。



「悲しいのか?」



私の心に、私自身に問いかけてくる。



「……っ、」



ダメだ……泣きそうになる。

こんなヤツの前では絶対に泣くもんか。

私はそう言い聞かせたけれど。



「それは、悲しいよな……」



凪いだ海のように静かな声。


まるで心の声を読み取ったみたいに。