「お前って、彼氏出来てもそういうこと言うわけ?」
「…………アンタだけだよ。だいたい私がどんな彼氏つくろうと関係ないでしょ?」
「へぇ。どんな彼氏?父親みたいな人がタイプとか?」
「っ、な……なんで、お父さんがでてくるの?」
「学校の先生だったろ?憧れたりしないの?」
「……、」
お父さんのことを思い出したら途端に胸がキュッと苦しくなって、誤魔化すようにさっきよりも速くアパートへ続く道を歩き出す。
ぐんぐんスピードを上げていく。
「おい、仁菜。お前どこに帰るつもりだよ?」
「へ……?」
気づくともうアパートの前だったから驚いた。



