「ヤバ……俺、余裕なさすぎだろ」 ぶつぶつ何か言ってるけど、なんでアンタがそんな顔してるの……? こんなことになるくらいならいつも通り憎まれ口をきかれた方がずっといい……。 「………からかわないでよ、」 パッと後ろに身体を引いて私は再び歩き出す。 大魔王であるきみのことだから、これもからかってるだけなんだって言い聞かせながら。 そうでもしないと心臓が休まる気がしなくて……。 「ついてこないでよ……」 躊躇いがちに後ろからついてくる気配が、どうしても気になってしまう。