私は、これ以上は耐えきれずに歩き出した。



「……ちょっと、なんでついてくるの?」


「帰り道だから」


「アンタの家はあっちでしょ……?」


「暗くなってきたし、またお前が迷子になるかもしれないし?」


「そ、それは……子供の頃の話で」


「ほら、ここにも書いてあんだろ?」



“危ない!痴漢に注意!!”

……という看板を不機嫌そうに顎で示す。



「家……すぐだし、一人で帰れるから」


「素直じゃねぇヤツ……」



そんなやり取りを繰り返しながら桐生秋十と可愛いルルちゃんと歩いているから、変な感じがする。



「なぁ、無理に彼氏作ろうとすんのやめたら?今ならなかったことにしてやってもいいけど?」


「……は?それって、私に彼氏が出来たらアンタが困るからでしょ?」