五時間目終了のチャイムが鳴って、今は休憩中。

「日陰で休もう」という事になって、テニスコートから少し離れた木の影に腰を下ろした。

「ふぃー、つっかれたー!」

彼女は体操着の首元をぱたぱたと仰いで、私が手渡したタオルで汗を拭いた。

「ふふ、宮ちゃん大活躍だったね。流石、テニス部部長さん」

「由李もナイスキャッチだったよ、さっきの!」

お茶を飲みながら、汗を拭う。

目の前のグラウンドでは、休憩中だというのに男の子達は大半がサッカーをし続けている。

普通科も特進科も、男の子同士はそんなに対立していないらしく。

ルールはよく分からないけど、皆楽しそうにボールを追い掛けている。

その中に彼がいないかな、と食い入るように見つめていると、彼女が突拍子もなく「嬉しいよ」と優しく笑った。

「由李、男性恐怖症だったのに。普通科っていうのは心配だけどね」

「ありがとう宮ちゃん。でも、相良君は優しいよ」

「……まぁ、あいつのーー」

「やだー、あれ見て」

くすくすと笑う声が背後から聞こえて、彼女と同時に後ろを振り返る。

そこには、普通科の女の子達。

髪の色を金とか茶色に染めてて、お化粧なんかもして。

宮ちゃんとはまた違って、彼女達も可愛いな、なんて思った。

……全部、校則違反だけど。