暗黒王子と危ない夜


「おれはそんなのに手を出したことないよ」


本当、なのかな。

相手は、危ない噂が絶えない本多七瀬くん。疑ってしまうのも仕方がないと思う。



「ていうかむしろ苦手」


だけど距離が近すぎるせいで、それが嘘だとか嘘じゃないとか、考える余裕はすぐにどこかへ行ってしまった。


袋の中の──煙草、の、パッケージは見慣れないものだった。



「昨日、椎葉に聞いた? おれのこと」

「……少し、だけ」



あたしとは真逆、余裕の笑み。



「仲良くなれた? “三成”って下の名前で呼んでたみたいだけど」

「それは強制的に呼ばされて……。な、かよく………うー、……ちょっとだけ?」


「よかった。三成が女の子の名前呼び捨てたり、自分のこと下の名前で呼ばせるの相沢さんが初めてなんだよね」

「っ、え!?」