暗黒王子と危ない夜

見えてしまったのは、袋に入ったマフィンのような焼き菓子。

……それと、一緒に入っていたのは。


……え?

驚いて、思わず本多くんを見た。

あたしの視線に気づいた彼は、しばらく間を置いたあと小さく笑った。


「おれのじゃないよ」


静かな声が言う。


「届けるように頼まれてただけ」


そして一歩、あたしの方に詰め寄り

「……信じてないでしょ」

綺麗な目をすうっと細める。


……甘い匂いがした。
あまりの近さにくらくらする。


立入禁止、周りからは見えない秘密の場所。

自分の鼓動が、雨音に負けないくらいの大きな音を立てた。