本多くんのあとに続いて席を立てば、クラスの女の子たちからの視線を痛いほど感じる。
あらかじめ事情をわかっている桃香と伊代は、にやにやしながらよくわからないジェスチャーを送ってきた。
ふたりが期待しているような間柄じゃないし、余計に目立つからやめてほしい……。
気づかないふりをして教室を出た。
「使い物になるのあるかな」
本多くんが向かった先は、昨日あたしが始めて通った、あの非常口──に見せかけた、立ち入りが禁じられている扉の前。
「まさか、またここ通るの?」
「今日は、ちょっと入るだけ。放置されてる傘がたしか中にあったはず」
そう言って扉に手を伸ばすけれど、すぐに開けようとはしなかった。



