暗黒王子と危ない夜


妙な沈黙が流れて、気が焦る。

どうしたらいいんだろう。


傘がない本多くんは、あたしを送っても送らなくても、このままじゃ濡れてしまう。

だとしたら、やっぱり一緒の傘に入るしか方法はないのだけど。



……本多くんも今、たぶん同じこと思ってる。
でもお互いに言い出せない。

あたしは誘う勇気がないから、本多くんが傘入れてって言ってくれれば、うんってすぐ答えられるのに。



「あのさ、」

「っ、うん?」

「置き傘ある場所、思い出した。そこ行っていい? 」


予想とは違う言葉。

ホッとしたような残念なような。矛盾した気持ちを抑え込んで、頷いた。