“ じゃあ、また明日。”
そう声を掛けて立ち去ろうとしたけれど
「相沢さん」と、後ろから声がかかる。
「帰るの、まだ少し待ったほうがいい」
「待つ、の?」
「うん。それか、嫌じゃないならおれが相沢さんを送る」
「……へ」
予想もしなかった発言に、つい間抜けな声が出てしまった。
「っ、いいよ、あたしの家ほんとにすぐ近くなの……で」
「だめ。ひとりでは帰せない」
「え、でも……」
「じゃあ、せめて校門を過ぎるまでは一緒に」
「………、」
どきまぎ、うまく答えられないでいると、手を掴まれた。
「今夜だけはおれの言うこときいて。……クラスメイトを危ない目に遭わせたくないんだよ」



