……そうだ。
昨日あまり眠れなかったのは、夜、あんなことがあったせい。
襲われそうになったというのも、もちろんあるけれど、一番は……。
本多七瀬くんと、同じ時間を過ごして、その素顔を垣間見たこと。
そして彼の友達である三成くんに家まで送ってもらったこと。
本多くんは『不良』って言葉でくくれるような人じゃないって、確かそんなことを言っていた。
あれから、あたしの家に着くまで本多くんの話は一切出ないまま別れて……。
重たいバイクを押しながらイヤな顔一つせず送り届けてくれた三成くん。
あの後、まっすぐ家に帰ったのかな……。
……桃香と伊代の話にはもう耳を傾けず、そんなことをぼんやりと考えていると。
「よお、萌葉」
背後から、突然。
まだ記憶に新しい声があたしの名前を呼んだ。
驚きのあまりビクリと肩が跳ね上がる。



