──その矢先に。


頬に、ひんやりと冷たい体温が触れた。

なんの躊躇いもなくあたしに触れた指先は、輪郭をやさしくなぞって。それから、ゆっくりと離れていった。



「……熱い」


落ちてきたのは静かな声。

さっきとは違う意味で、どきどきしている。


背中が凍りつく感覚とは反対に、今度はまるで体の内側から燃えてるみたいで。

やわらかく細められた目に、心臓がさらに派手な音を立てる。



「え……あ。……本多くんの手が、……冷たいから、そう感じるだけだと思……」



言葉のあいだに微妙な間をつくりながら、なんとか必死に言葉を紡ぐ。



「ほら、やっぱり人見知りだ」

「っご、ごめんなさい。小さいときから、ちょっと緊張するだけで顔が赤くなって……っ」

「そうだったんだ、可愛い」