「どきどきするとか、本人に向かってそんなストレートに言う人初めて見た」
恥ずかしさがさらに募り、体の内側からじわじわと熱くなっていく。
たしかにそう……普通は言わないよね。
「えっと、そんなヘンな意味じゃなくて。……本多くんと話せたのが嬉しいって言えばいいのかな……? ク、クラスでは、雲の上の存在みたいな感じだからっ」
さっきまでの冷静さはどこへ行ってしまったのか。
一度慌てると、あたしはいつもこう。
パニックになってしどろもどろ。目が泳いで相手の目すらまっすぐに見られない。
「雲の上……? そんなの、おれのほうが、」
「………え、なんて?」
「んーん。おれも相沢さんと話せて嬉しいって言っただけ」
やわらかな笑顔で受け流してくれて、とりあえずほっとする。



