「どきどきするとか。本人に向かってそんなストレートに言う人初めて見た」
自分の吐いたセリフに恥ずかしさを覚えて、じわじわと身体が熱くなっていく。
たしかにそう……だ。
いきなり何を言ってるんだろう、あたしは。
いや、他の人と話すよりもどきどきしていたのは、本当だけど。
「えっと、そんなヘンな意味じゃなくて。……本多くんと話せるのが嬉しいって言えばいいのかな……? ク、クラスでは、雲の上の存在みたいな感じだからっ」
さっきまでの冷静さはどこへ行ってしまったのか。
一度慌てると、あたしはいつもこう。
パニックになってしどろもどろ。
目が泳いで相手の目すらまっすぐに見られない。
「なに雲の上って。おれも話したことない相沢さんと話せて嬉しいけど」
やわらかな笑顔で受け流してくれてほっとした。