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「今までごめん。本当に」


本多くんに謝られるのは好きじゃない。

そして「今まで」なんて言われたら、もう次がないような気がして何も返せない。



言葉を探す。

本多くんと話すのは、もしかしたら最後になるかもしれない。

黒蘭との抗争が終わった今、守られる理由もなくなってしまった。




だからといって伝える勇気もない。

言えないのに気持ちばかり溢れてくるから、それが涙になって、また本多くんを困らせる。



「……っ、ごめんなさい」

「なんで泣いてるの? どこか痛い?」



その声があまりにも優しいから、少しずつ自制心が緩んでいく。


あたしは本多くんとずっと一緒にいたい。

泣きやまないから、本多くんが背中をさすってくれた。


だめなのに。そんなことされたら、余計に止まらないのに──。



「離れたくない……」


本多くんの手の動きが止まって、

口に出ていたことに気づく。


かあっと全身が熱くなって、恥ずかしさに体を離そうとしたけれど、

本多くんはそれを許してくれなかった。