それは、まるでスローモーションの映像のよう。
一瞬で音が消え去り。
誰かが倒れていく様が、やけにゆっくりと目の前を流れる。
「っ……──」
目を見張った。
体中の血液が一瞬で引いていく。
ここからはっきりと顔が見えるわけではないけれど、背格好とシルエットから、倒れた人物が誰なのか……嫌でもわかってしまう。
銃を撃ったのは、黒蘭の総長──深川と呼ばれる彼。
すこし離れた位置に、立っている、のが……本多くん。
その間に、力なく横たわっているのは──。
どう、して……。
声にならない声が出た。
目眩で傾いたあたしの体を、山下くんが抱き留める。
足元の力が抜けて、そのまま地面に座り込んだ。
山下くんも合わせるようにその場に屈んで、肩を抱く。
その指先は震えていた。
しばらくは誰ひとりとして動かなかった。
時が止まったみたいに。
銃を持つ男も、倒れた中島くんを呆然と見つめる本多くんも、三成も、藤本くんも。
意識が遠のく感覚がした。
それでも、これは現実で、それを受け止めなければならないと言い聞かせる。
ちゃんとこの目で、見て……。
永遠にも感じられた数秒間ののち
沈黙を破ったのは
……撃たれた中島くんだった。