「なに、やってんの」
無理やり振り向かせられる。
「っ、本多くんが……」
「俺たちはみっちゃんに、ここで待ってろって言われたよね」
頭ではわかっているけれど、聞いていられなかった。
山下くんの手を無理やり振りほどく。
「ちょっ、待ちなよ」
走った。
セキュリティがかかっているはずの建物の扉は、なぜか開きっ放しになっていた。
くぐり抜ければ、やがて少し先の広い空間に人が立っているのが見えて。
その手前の太い柱の影に、三成と藤本くんが身をひそめて様子を伺っている。
できるだけ音を殺して近づいて、もう少しで、完全に見える位置までたどり着こうとしたとき。
追いかけてきた山下くんがあたしの腕を掴んだ。
強い力に抵抗できず、足を止める。
──その直後のことだった。
静かな空間に
二度目の銃声が鳴り響いたのは。