── “ 黒蘭を終わらせる ” か。
ふいに笑いがこみ上げてきた。
今までの七瀬では考えられなかった言葉だ。
自分のことなんて、心底どうでもよかったくせに。
“ あの子 ” が傷つくのが耐えられなかったらしい。
それなのに。危険な場所に置いているとわかっているのに、完全に手を離せない。一緒にいたいなんて思ってる。
“ あの子の不幸はおれの不幸 ”ってわけだ。
深川を潰せば、そばにいたいと思う自分自身を許せるとでも思ったのか。
笑わせる。とんだ甘ったれだ。目先のことしか考えてない。本当に腹が立つ。
父親からもらった手紙も、あんなビリビリに破り捨てたくせに、書かれていたことはしっかり覚えてやがる。
──俺が、どんな思いで繋ぎ合わせたと思ってんだ。
ほんとうに……最悪だ。
七瀬のわがままのせいで、俺の計画は台無し。
やっはりお前なんか大っ嫌いだ。
ほんとうに……よかった、
初めて、自ら幸せを拾おうとしてくれて。



