──────
───
『──うまくいったか』
『はい。本多佳遥は始末しました』
ああ、また急に景色が変わる。
それも……最低で最悪な思い出。
『バレねぇようにやったんだろうな』
『もちろんです。死体は、明日の夜、船で──』
そうだ。
俺がしてきた中で、一番悪いこと。
本当は知ってたんだよ、七瀬。
お前が今まで、必死で手がかり掴もうとしてきた真実の全てを、俺は知ってるんだ。
知るはずじゃなかった。
偶然聞いてしまった。
父さんが殺されたあと、鎮西会の事務所内で、元幹部の大人たちが話していることを。
『俺達はトップを殺された、当然の報いだ。思い知ったか黒蘭め』
中心にいた男が、喉を鳴らし不気味に笑う。
七瀬の父親、
本多佳遥は殺された。
主犯は、当時の鎮西会・若頭
深川宗ニ
──────あの男の、父親だ。



