わりと大きいサイズのぬいぐるみだった。
高さは30センチくらいある。
「琉生君はうさぎが好きでね。七瀬君が、琉生君の誕生日でもなんでもない日に買ってきたんだ。小学生の低学年頃……だったかな、お父さんから貰うお小遣いを貯めていたんだろうね」
そんなエピソードが? と思わず顔をあげる。
「中島くんは、うさぎが好き、なんですね」
「あの頃は、毎日のようにうさぎが飼いたいってセリフを耳にしていたよ。七瀬くんが言うには、休み時間のたびにうさぎの飼育小屋に飛んでいってたんだとか」
もう一度、うさぎのぬいぐるみを見る。
そんな微笑ましい話と、今の状況の違いに言葉がつまった。
話を聞く限り、仲よく笑い合っているふたりしか目に浮かんでこない。
それに、ぬいぐるみなんて間違っても嫌いな相手にプレゼントするものじゃない。
それなのに……今は。
どうしてこんなことに……。
「市川さん。本多くんと中島くんは、すごく仲が、よかったんですよね…?」
「そうだね。顔を合わせれば喧嘩ばかりしていたけれど、いつも楽しそうだった」
……やっぱり昔から嫌いなんて嘘だ。
本多くんは中島くんの好きなうさぎのぬいぐるみをプレゼントして、中島くんはそれを大切にしていた。



