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幾度となく背後を確認しては、誰もいないことにほっと息をついていた。
追手はどのタイミングで現れてもおかしくない。
精神的にも追い詰めれて、走っているわけでもないのに息が乱れてしまう。
後ろからくるとも限らない。
次の瞬間には、目の前に現れて行く手を阻まれるかもしれない。
見つかったら……どうしよう。
不安にまみれながら、また無意識に後ろをふり返ってしまった、そのとき。
つま先になにか固いものが当たり、体のバランスが崩れた。
「あっ」と小さく声が漏れたときはもう遅く、足場の悪い地面に膝をつく。
気づいた本多くんが、あたしの側にそっと屈みこんだ。
「ごめん、急かしすぎたね」
「違うよっ、ごめんなさい、あたしが後ろばっかり気をとられてたから……」
本多くんのせいじゃないんだよ、と。
首を振って立ち上がる。