……高校生で2台持ち。
タブレットやパソコンだったら、あわせて持ってる人はいるだろうけれど。
スマホを2台って、かなり珍しいんじゃないかと思う。
「本多くんはお金持ち……なの?」
「はは、そうでもないよ」
軽く笑いながら、再度ポケットにスマホを戻した本多くん。
「なんで2台も?」
「色々あって」
「色々……」
「そう。使い分けないと面倒なことになるから」
ついさっきまでの怖さを忘れて、まじまじと相手の顔を見つめてしまう。
同じクラスという以外接点は何もなく、席も離れているし、時おり流れてくるウワサを聴きながらいつも遠目から見つめていただけ。
「相沢さんって、喋ってみたらなんかおれのイメージと違った。わりと人見知りなの?」
「う……そうかな? でも、本多くんと話すのは、特に緊張……っていうか、なんか他の人よりもどきどき、する、から」
そんな言葉が、自分でも気づかないうちに口からこぼれていた。
はっとして言い訳をする間もなく、彼は声をあげておかしそうに笑う。