タブレットやパソコンだったら、あわせて持ってる人はいるだろうけど。
スマホを2台って、かなり珍しい気がする。



「本多くんはお金持ち……なの?」

「はは、そうでもないよ」


「なんで2台も?」

「色々あって」


「色、々……」

「そう。使い分けないと面倒なことになるから」


ついさっきまでの怖さを忘れて、まじまじと相手の顔を見つめてしまう。

同じクラスという以外接点は何もなく、席も離れているし、時おり流れてくるウワサを聴きながらいつも遠目から見つめていただけ。



「相沢さんって、喋ってみたらなんかおれのイメージと違った。わりと人見知り?」

「う……そうかな? でも、本多くんと話すのは、特に緊張……っていうか、なんか他の人よりもどきどき?する、というか」


そんな言葉が零れ落ち、はっと息を呑む。

慌てて弁解しようとするも間に合わず、彼は声をあげておかしそうに笑い始めた。