ひやりとした冷たい空気の流れを感じた。
隣で感じていたはずの体温がない。
はっと目を覚ますと、そこに中島くんの姿はなく。
代わりに、中島くんが制服の上から羽織っていたジャケットがあたしの肩に掛けられていた。
どのくらい寝ていたんだろう。
今は何時?
中島くんはどこに行ったの?
時間を確認しようにも部屋に時計はなく、スマホも取り上げられたまま。
急に不安が襲ってくる。
思わず立ち上がって扉の方へ歩み寄った。
するとちょうど、上の方から誰かが階段を下りてくる音が聞こえてきて。
あたしがここに立っていると不審に思われるかもしれないと思い、あわてて後ずさる。
扉が開くまでのほんの数秒間で、いろんなことを考えた。
どんな顔をして迎えればいいのか。眠っているふりをした方がいいのか。
そして、
これがもし、中島くんじゃなかったら──。
自分で不安を煽りながら、結局、その場に立ったまま相手が入ってくるのを待った。
キイ……といやな音が鳴る。
「……起きてたのか」