ふたりは何か言いたげな表情をしつつも、頷いて一歩後ずさった。
扉が閉まると「B1」の文字が光り、一時の浮遊感ののち、足元にぐっと重力を感じる。
扉が開く寸前、ふわりと空気の動く気配がしたかと思えば。
少し屈み込んだ中島くんが、あたしの耳元で囁いた。
「奥の方で、深川が待ってる」
拘束していた手が離れ、あたしの背中をゆっくり撫でるように動く。
「怖がらないで。あの人の前では逆らうような態度は取らずに、黙って頷いておけばいい。俺は相沢さんに手荒な真似はしたくない」
黒い瞳が、扉の向こう側を見据えていた。
「大丈夫。都合のいいことだけを信じてて」



