暗黒王子と危ない夜



「中島くん、参考書とか買うんだね」


不真面目そうには見えないけれど、ガリガリ勉強するようなタイプにも見えない。



「まあね〜。一応大学行きたいし?」

「へえ」

「ぎりぎりまで遊んでたいんだよね〜」



そんな理由でも、きちんと未来に向けた意志があって、そのために勉強をしようと思えるのはすごいことだと思う。

あたしなんて、進学しようとは思っていても明確な志望先もまだ決めてないんだから。



そんな話をしながら歩いているうちに、繁華街で一番大きな書店の看板が見えてきた。


「あ、あそこだよ」

「わーお、でかっ」


ビル3階分のスペースを使って展開されている。

記憶が正しければ、1階が一般書、2階が学習やビジネス関係、3階がコミック類だったはず。



「相沢さんは好きな階見てていいよ…って言いたいところだけど、いつ何があるか分かんないし不安だから、申し訳ないけど一緒についてきてくれる?」

「わかった。えっと、ありがとう、心配してくれて」


入り口を抜けてエスカレーターに乗った。