暗黒王子と危ない夜






「よっ、相沢さん。ちょっとだけ久しぶり〜」


──金曜日、放課後。


三成が言っていたとおり、中島くんが校門まで迎えに来てくれた。

気さくな態度も相変わらず、片手にコーラを持っているのも相変わらずで──素直に笑ってしまう。



「またコーラ飲んでるの?」

「煙草やめてから、なんか口寂しくってさー。これ飲んでないと落ち着かないんだよね」



爽やかな笑顔でそんなことを言う。

タバコも大概だけど、コーラの大量摂取も同じくらい体に悪いんじゃないかと思うんだけど。



「なんかー、さっきからやたらと視線感じるなーと思ってたんだけど。たぶんあれだね、俺の制服が違うせいだ。西のバカ校が何しに来てんだって思われてるんだろうね〜」


そう言いながらけらけらと笑い声をあげる彼。


たぶん……違うと思う。

周りを見渡してみると、中島くんを見ているのは、ほとんど女の子達だ。



「中島くんがかっこいいからみんな見てるんだと思うよ」

「えっ、そーなの?」


とぼけ方がわざとらしい。
さては、分かって言ってるんだなと思った。



「それはそうと。俺、わざわざこっちに来たんだよ。このまま相沢さんの家に送るだけだと、ちょっとつまんないよね」

「……えっと、つまり、どこかに寄って帰ろうってこと?」

「ピンポンピンポーン!」