本当は心配でたまらないんだ。
あたしなんかに言われなくたって三成はいつも本多くんのことを思っている。
心配じゃないの?なんて、聞いてしまった自分が恥ずかしい。
「安心しろ。青藍の奴らには常に構えておくよう言ってある。やばいって情報が入ったら即、総出で援護に向かうさ」
そうだ。
本多くんはひとりじゃない。三成や中島くんを始めとする青藍のメンバーがいる。
従えているわけじゃなく、純粋に本多くんのことが好きで、憧れて、集まったメンバー。
あたしが倉庫に行ったのは一度きりだけど、あの場にいた全員、本多くんを見る瞳がきらきらしていた。
あの一瞬で、本多くんがみんなに愛されていることが分かってしまうくらいに。
「お前も余計な心配はすんなよ。七瀬もそれは望んでねぇからな」
「うん」
「けど自分の心配はしろ。送り迎えは俺がするけど、油断はすんな。黒蘭は最近荒れてるみてぇだし、何があるか分からねぇぞ」
うん、ともう一度頷く。
話が終わり、そろそろ教室に入ろうかと扉に手を掛ける。
「あー、そうだ」
三成は思い出したように呟いた。
「明後日……金曜、俺どーしても学校来れねぇんだ」
「へぇ。何かあるの?」
「見合い」
「……へ?」
聞き間違いかと思い、三成をじっと見つめるけれど。
「だから、見合いだよ見合い。てことで、中島に代わり頼んである」
「え……あ、うん」
それだけ言うと、何事もなかったかのように教室に入っていく。
お見合い……。
三成の家柄だったら珍しくもない話なのかな……とは思いながらも、この年でお見合いなんて、聞き慣れない言葉に妙に緊張した。



