暗黒王子と危ない夜


それを聞くやいなや、いてもたってもいられなくなったのか、三成は奥の部屋へ。

おろおろと見つめていれば、市川さんがそっと背中を押して促してくれる。



「おい七瀬、起きてんのか」


ぶっきらぼうに呼びかける三成。

あたしは入り口の手前から、おそるおそる中を覗き込んだ。

ベッドに横たわる本多くんが見えた。
左の手の甲を額の上に乗せて、薄っすらと目を開いている。

胸元がゆっくりと上下していて呼吸が……苦しそう。



今朝会ったときは平気そうだったのに……。

悟られないように我慢していたのかもしれない。

本多くんは隠すのが上手だって、三成も言っていたし……。


「お前、あの人刺したのか」


真剣な口調で三成が問い詰める。

本多くんは答えない。あたしは部屋の中に入る勇気がなかった。


本多くんはたぶん、あたしがいることにまだ気づいていない。気づかれない方がいいと思った。

あたしがいると、本多くんは本当のことを言わないような気がする……。



足音を立てないように、一歩後ずさった。