あたしにそっと握らせると、まぶたを伏せる。


「何があっても守る覚悟はある。それでも、昨日みたいなことが……、万が一起こったら」



本多くんの表情がわずかに歪んだのがわかった。

のどの奥がぎゅっと狭くなる。

本多くんはたぶん自分を責めている。

昨日あたしを危ない目に遭わせてしまったこと。 また守れなかったって、思ってる。



「ありがとう、本多くん」


目を見た。


「助けに来てくれて嬉しかった。あたしは大丈夫。……だから、自分のことは責めないでほしい……」


本多くんはあたしのことを“ 普通の女の子 ” だって言った。


自分の世界とあたしの世界に、確実に線を引いてる言い方。
見えない距離を見せつけられたようで悲しかった。

それと同時に、本多くんに守られる立場でしかなかった自分の存在に気づく。



「本多くんは、自分のこと大事にしてない……よね」

「……え」


見開かれた瞳が戸惑うように揺れた。



「本多くんも、あたしと同じ高校生なんだよ。……誰かに傷付けられていい存在じゃない、んだよ」