「今の売店の人、すごく優しそうだね」
お店の方を振り返りながら呟いた。
「うん。子供に対してすごく理解ある人だと思う。それに、時々パンとか野菜ジュースくれる。ちゃんと栄養摂りなさいって」
母親みたい、と付け加えた本多くんの目も優しい色をしていた。
しばらく進むと、ある扉の前で足が止まる。
“ 生徒立ち入り禁止 ” という張り紙。
ここは、あの夜に本多くんとくぐり抜けた通路の入り口。雨の日、傘を探しに、訪れた───。
「相沢さんに渡したいものがあってさ。人に見られるとまずいから、ちょうどよかった」
そう言うと、本多くんはガチャリと手前に扉を引いた。
立ち入り禁止にも関わらず、やはり鍵は掛けられていないらしい。
誰の目からも死角になるというこの空間。
一歩中に踏み込むと、さあっと風が吹き抜けて、まるで学校という場所から切り離された、どこか別世界のように感じる。



