暗黒王子と危ない夜


そんな風に誘われたら、考えもしないうちに自然と頷いてしまう。

どのクラスも朝礼が始まっているから、廊下に響くのは各先生の声とあたしたちの足音だけ。


本多くんの後ろをついて歩く。

階段を下りて1階の廊下に出て、そこから少し進むと売店が見えてきた。



「あらあら、本多くん」


ちょうどシャッターを開けていたお店の人が本多くんに気づいてにっこり微笑んだ。

本多くんもよくここを利用しているのか「おはようございます」と親しげに笑みを返す。



「その腕は……喧嘩でもしたのかな」

「まあそんなところです」

「ふふふ、元気でよろしい」



決して咎めたりしないその人に、本多くんは軽く会釈をしてそこを通り過ぎた。